ハロウィンが近づいてきましたね。今回の記事では、このジャンルで効果音と楽器の音がどのように使用されているのかを見てみましょう。効果音と楽器の音が組み合わされることで緊迫感が出て、ドキドキ感と恐怖感が生まれ、不安感を出すことができます。
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ダイジェティックサウンド vs ノンダイジェティック効果音
ホラー映画で頻繁に使われる効果音や音楽制作について深く掘り下げる前に、このジャンルやその他の映画でよく聞きかれる2つのサウンドカテゴリーを定義しておきましょう。
まず、「ダイジェティックサウンド」は映画の物語内で発生する音です。例えば、叫び声、ドアをノックする音、幽霊の音、肉体が傷つく音、ささやき声などです。一方、「ノンダイジェティックサウンド」は、ポストプロダクションで映画製作者によって追加される音で、音楽、フォーリーサウンドなどが含まれます。
「ダイジェティックサウンド」と「ノンダイジェティックサウンド」は、特にホラー映画では見事に融合されています。時には、その違いさえ分からないこともあります。
例えば、「13日の金曜日」の象徴的な「キキキハハハ」というささやき声(実際は「キキキマママ」)は、ジェイソンが獲物であるティーンエージャーを追跡している時のささやき声のように聞こえますが、実は映画の作曲家であるハリー・マンフレディーニが手がけました。
マンフレディーニは、不気味な音を出すために、「キ」と「マ」をマイクにささやいて、それをエコープレックスマシンにルーティングしました。エコープレックスは、過去60年間に作曲された名曲内でよく聴かれる磁気テープ式ディレイエフェクトです。エコープレックスのディレイによって、「キ」と「マ」が歪み、「キキキハハハ」というささやき声が視聴者に聞こえるようになったと考えられます。
ホラー映画でよく使われる楽器
ホラー映画のスコアリングに使う楽器に関しては、絶対的なルールはありませんが、ある特定の楽器がこのジャンルと結び付けられるようになったことは確かです。
初期のホラー映画では、クラシック音楽でよく使用される楽器が使われていました。ハリウッドが、ネオクラシック音楽や20世紀前半のその他のオーケストラスコアで映画のスコア付けにオーケストラを使用していたことを考えると、これは驚くことではありません。
以降、多くの映画監督は、ホラー映画に様々なサウンドを使用して、サウンドのパレットにさらなるバリエーションを追加してきました。
弦楽器
この考えを覆した映画監督はアルフレッド・ヒッチコックです。ホラー映画「サイコ」のスコアは、弦楽器が奏でるとげとげしいスタッカートとアルペジオで知られています。もちろん、とげとげしいスタッカートの音は、象徴的なシャワー殺人のシーンで最高潮に達します。
弦楽器は、伝統的なオーケストラ音楽では美しい音を奏でる楽器ですが、ホラー映画では様々な緊迫感を生み出し、映画にまったく異なった効果を与えるために無調を採用することもあります。
シンセサイザー&テルミン
1950年代、シンセサイザーの原型のひとつであるテルミンは、楽器として、そしてサイエンスフィクションホラー映画用のサウンドデザインの要素として人気になりました。テルミンはピアノやシンセサイザーのようなクロマティックな深みはありませんが、不協和音や無調のサウンドを生み出すのに適しており、ホラー映画にぴったりです。
1970年代と1980年代のホラー映画、特にSFホラーのジャンルでは、シンセサイザーがその地位を確立しました。例えば、映画監督のジョン・カーペンターは、自身の映画「ハロウィン」や「ザ・シング」でシンセサイザーを使ったスコアを制作しました。同様に、ゾンビ映画でもシンセサイザーは常に存在します。
最近では、テレビドラマ「ストレンジャー・シングス」がホラー映画でのシンセサイザーの使用を復活させました。確かに、1980年代のSFホラーサウンドトラックに大きく影響されていますが、シンセサイザーがホラー映画で素晴らしいサウンドを生み出す良い例です。
ギター
シンセサイザーほど一般的ではありませんが、ギターのラン・スルー・エフェクトはホラー映画に最適な選択肢です。イタリアのバンド、ゴブリンは、ダリオ・アルジェントのホラー名作「サスペリア」のギターを中心としたスコアを制作しました。トリッピーで不安感を誘うサウンドは、アルジェントのサイケデリックなホラー映画に完璧にマッチしています。
1994年のゴシック・ホラー映画「クロウ」は、ギター(とシンセサイザー)をフィーチャーした素晴らしい楽曲を聴くことができる映画のもう一つの例です。ロブ・ゾンビの映画はどの作品でも、ギターの音をたくさん聴くことができます。彼は1990年代のインダストリアル・メタルバンド、ホワイト・ゾンビの創設メンバーだったため、これは当然のことです。
ホラー映画でよく聞く5種類の必須効果音
ホラー映画には、何度も出てくる恐い効果音がいくつかあります。
1. 呼吸
「13日の金曜日」の象徴的な「キキキハハハ」という音についてはすでに触れましたが、呼吸の効果音は必ず必要なホラーオーディオトラックの一つです。しかし、映画製作者はあらゆる種類の呼吸音を使って観客を不安にさせることができます。
キャラクターが走って隠れた場合、大きな呼吸音を流すと追跡者にバレてしまうかもしれません。同様に、キャラクターが死ぬ時、俳優やサウンドデザイナーは、数秒ごとに変化する息の様子を再現して、リアルなシーンを演出することができます。
2. モンスターの発声
モンスターホラー映画では、動物の呼吸が絶対に不可欠な要素となります。サウンドデザイナーは、吠える音、シューという音(リドリー・スコットの「エイリアン」を想像)、または他のモンスターへの呼びかけなど、他の非言語の発声もデザインできます。
3. 足音
殺し屋や動物が獲物を追いかけている時の足音ほど、緊迫感と恐怖感を生み出すものはありません。サウンドデザイナーは、足音の音量や特徴を操作し、リバーブ、ディレイなどの効果をオーディオミックスに追加することで、これらの足音をより複雑な音にすることができます。
4. 幽霊の効果音
幽霊の効果音は、フワフワする音や奇妙な雰囲気から、抽象的または不明瞭な発声まで、その種類は様々です。ホラーサウンドデザイナーは通常、音に大量のプロセスを加えて、幽霊の音に異世界的な雰囲気を与えます。
5. 刺したり、切る時の肉体を傷つける音
刺したり、切ったり、串刺しをするような致命的な肉体の傷の音がないホラー映画は考えられません。血なまぐさい音です。
4. ホラー映画用の4つのサウンドデザインテクニック
ホラー映画によく使われる効果音や楽器について話しましたが、サウンドデザインテクニックやストラテジーについて少し見てみましょう。これらのことは、ホラー映画を制作予定でも、その他のどんなジャンルの映画を作る場合にも知っておきたいことです。
1. ネガティブスペース
ここ数十年のトレンドは、銃声、爆発、叫び声、衝突音、うなり声、会話など、時間のほとんどを音で埋めることでした。しかし、音の間に「間」を入れることには大きな意味があります。これが「ネガティブスペース」と呼ばれるものです。
多くのホラー映画監督は、ネガティブスペースを使って緊張感と恐怖を作り出すのが非常に上手です。前述した、リドリー・スコットの『エイリアン』は、この点で優れた例です。映画は音で埋め尽くされているわけではありません。代わりに、キャラクターが隠れていたり、静かに移動していたりするような場面では、ネガティブスペースがあります。
2. 音のテクスチャーで実験する
伝統的なホラー映画の楽器や効果音のみに限定しないようにしましょう。代わりに、音を生成したり、既存の音を歪めて、奇妙で新しい音のテクスチャーを作ってみましょう。こうした試みにより、あなたのホラー映画に、サウンドデザインを際立たせるユニークさが生まれます。
3. サンプリングとシンセサイザー
音の質感を実験する良い方法は、サンプラーとシンセサイザーを使用することです。これらは、ハードウェアもしくはソフトウェアで入手が可能です。そして、これらの電子楽器で実験を重ねることによって、あらゆる種類の音を作り出せることがすぐにわかるでしょう。
特にサンプラーは、音をロードして、シンセシスエンジンなどを使用してあらゆる方法で加工できる、非常に強力で汎用性の高いツールです。
4. フォーリーサウンド
自分で音を制作する自信やスキルがない場合は、フォーリーアーティストを雇うか、Artlistでフォーリーサウンドを探すことができます。フォーリーアーティストは、録音スタジオで映画制作者のためにあらゆる種類のツールや素材を使用して音を制作するサウンドデザイナーです。

まとめ
すでにお分かりかもしれませんが、ホラー映画は、画面上の映像や画面外の未知の要素だけでなく、素晴らしい音響効果、サウンドデザイン、そして音楽スコアによって、その素晴らしさが決まります。
ホラー映画を制作する場合は、ダイジェティックな音とノンダイジェティックな音を使い分けてみてください。また、音響効果やロイヤリティフリーの音楽の世界を探求し、そのまま使える音や、恐怖感を最大限に引き出すように編集した音に注意深く耳を傾けてみましょう。
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